2021 共通テストレビュー(現代文)文章の難易度を下げつつ「設問意図の把握力」を問う問題
こんにちは。
東大・京大合格クオリティ
品川区武蔵小山/全国オンライン
学習塾Dear Hope塾長の伊藤智子です。
共通テスト現代文に関して、当塾の現代文・小論文の担当講師の森が、所感をお届けします。
1.論説文について
センター試験とあまり変わらない出題形式で、拍子抜けされた方も多かったのではないでしょうか。
①文章の内容を理解し、②設問の意図を把握する、という基本はこれからも変わりません。
今回変化を感じたのは、①の難易度が下がり②の難易度がやや上がった点です。ということは、今後、国語の学習においても②の重要度が上がる可能性か高いです。
段落ごとにわかりやすくまとまった読みやすい文章でした。個人的には、文章が易しすぎるのでは、とさえ思いましたが、設問で何を聞かれ何を答えるべきかを明確にしないまま選択肢を読み始めてしまうと、かなり迷ったはずです。センター試験では、5つの選択肢を見比べただけでも明らかに外せるものが多々ありましたが、その感覚は通用しませんでした。「王道」の設問だと感じました。
2.小説について
小説ではなく、「詩」などが出題される可能性もありましたが、今回の入試改革に即して考えると、対人や対話に関わる問題は外せなかったのだと思います。
主人公は複雑な心情を抱えている人物で、設問では各心情について直球で聞かれました。選択肢は論説文同様「どれもありうる」と感じさせるものでした。心情の「原因」に気づけていたか、その心情になった後の「言動」を注視できていたかが明暗を分けたと思います。
新傾向だと感じたのは、(読者である自分の視点ではなく)主人公の視点に立って、その他の登場人物の心情を考えさせる問題です。
小説が得意な人=人の気持ちに敏感な人 とは言い切れませんが、今回のこの手の問題では実生活での心情判断にも通じるものがあると感じました。
小説に対する辛口の批評を読み、それに反論する意見を選ばせる問題は、まさにディベートを想定しているのでしょう。ゆくゆくは、こうした反論意見を記述させるような記述式問題が登場するだろうと思います。
過去のセンター試験を受け継ぎながら、文章の難易度を下げつつ「質問把握力」と「心情に関する思考力」を十分に問う問題だったと思います。
ところで、試行調査では、論説文の中で図表の読み取り問題が出題されたので、受験生の皆さんは、そうした問題に備えていたと思いますが、実際には出題されませんでした。ただ、英語にその傾向が強く出ていたようですね。全科目を総合して見たときに、今回の改革のメッセージが受験生たちに伝わるようになっているのかもしれないなと思いました。
現代文のレビューは以上です!
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